株式交換比率の算定
新日本製鐵株式会社による日鐵物流株式会社、製鐵運輸株式会社の完全子会社化
1. 日程
| 平成17年9月8日 | 株式交換契約書 承認取締役会、株式交換契約 締結 |
|---|---|
| 平成17年11月 | 株式交換契約書 承認臨時株主総会 |
| 平成17年12月27日 | 株式交換実施 |
2. 背景
新日本製鐵グループの統合・再編の一環として新日本製鐵は物流部門の日鐵物流及び製鐵運輸を株式交換により完全子会社しました。これにあたり、アメリカン・アプレーザル・ジャパンは日鐵物流と製鐵運輸の依頼を受け、株式交換比率算定を行いました。
3. 株式価値算定方法
株式交換比率の算定にあたり、3社の株式価値を算定し、算定した価値の相対的な比率を用いて株式交換比率を決定しました。株式価値の算定には市場株価平均法、DCF(discounted cash flow)法、類似会社比準法を用いました。
(1)市場株価平均法
市場株価平均法は、マーケット・アプローチの一種で、公開市場において実際に取引されている評価対象会社の一定期間の株価平均値に基づき評価する方法です。公開企業の株価は、完全市場の原理に基づくと、市場金利、財政状態、経営成績、事業の見通し、当該企業の事業計画などが株価に反映されていると考えられます。また、その企業の財政状態を表す貸借対照表、経営成績を表す損益計算書、資金状況を表すキャッシュフロー計算書、当期の事業計画などの情報も反映されます。
(2)DCF法
DCF法はインカム・アプローチの一種で、企業が将来生むと予想されるフリー・キャッシュ・フロー(FCF)と割引率の算定がキーポイントです。FCFの予測においては、対象企業の事業計画、計画の見通し、企業を取り巻く経済状況や市場環境などを総合的に評価します。その際、企業の強み・弱みの分析(SWOT分析)、競合企業のベンチマーキング、事業の見通しに関してはシナリオ分析なども行います。市場環境の分析には、過去の趨勢を分析する能力も重要です。
割引率の算定は、加重平均資本コスト(WACC)を用います。CAPM(capital asset pricing model)によって算定した株主資本コストと資金調達にかかる負債コストを資本構成に基づいて加重平均します。
将来のFCFを割引率(WACC)で割引いて企業価値を算出し、他人資本である有利子負債を控除して株主資本価値を求め、株式価値を算出します。
(3)類似会社比準法
類似会社比準法はマーケット・アプローチの一種で、事業内容等が類似する複数の公開会社の株価をもとに、評価対象会社と類似会社の利益(又はキャッシュフロー)および純資産などを比準要素として株式評価額を算出する方式です。
類似会社として同業種の企業のうち、できるだけ相似形の会社(評価対象会社と資産規模や売上高・社員数などが近似している、もしくは売上利益率・総資産回転率などの経営指標が近似している企業)を選びます。
比準要素は利益、純資産などで、利益については、類似会社と評価対象会社のどの利益を使うかが問題となります。
比準要素は単純平均を取らず、評価対象会社と類似会社との財務上の違いなどを勘案して、比準要素を重みづけして株価を算出することもあります。
4.株式交換比率合意
算出した3社の株式価値を参考に以下の通り株式交換比率を3社間で合意に至りました。
| 新日本製鐵 | 日鐵物流 | 製鐵運輸 | |
|---|---|---|---|
| 株式交換比率 | 1.000 | 1.585 | 29.822 |
